劇場版でテーマになった料理は

短編調の作品で魅せられる逸品たち

深夜食堂の人気は原作だけでなく、映像作品でもその反響を大いに集めました。漫画などの作品を実写にすると中々ヒットしない傾向にありますが、深夜食堂はまさに予想を反する結果を生み出します。事実テレビドラマは3期、果てに劇場映画というのは中々凄いことだ。そんな中で満を持して公開された劇場作品にも、思わず見ているだけでお腹の虫が鳴ってしまいそうな料理が次々登場してくる。『鑑賞前には食事を』、なんて注意書きがされていても可笑しくない。映画といえばポップコーンなどの軽食が定番ですが、こちらの作品を見ながらだとコレジャナイ感が半端ない。鑑賞後、あれ食べに行かないと地味に近所の飲食店が賑わっていたという事例も、探せばあるかもしれませんね。

そんな記念すべき劇場作品で取り上げられた料理とはどんなものか、ピックアップしてみよう。

三部で綴られる物語

深夜食堂は短編での展開がウリとなっています、一話完結の物語でどの会から見ても分かりやすくなっている点も良点でしょう。テレビドラマもそうだが、その形式は劇場作品にもきちんと反映されています。上映時間約120分に対して計3話のオムニバス形式で物語は展開していきます。前後の脈絡は関係ないが、思わず視ていたらよだれが零れそうな料理をマスターが次々仕上げていく。思わず劇場を出て食べに行ってもおかしくない。

また劇中ではテレビドラマでよほど人気を博した赤いタコさんウィンナーと卵焼きも登場しており、どれだけ人気なのかが見えてくるだろう。もうどうでもいいから食べさせてくれ、そう言いたくなる。

第一話 ナポリタン

まず最初に登場してくるのは、日本式洋料理『ナポリタン』だ。パトロンだった旦那と死別した常連客のたまこが深夜食堂にやってくると、これまでの馴れ初めを含めてマスターに彼女は愚痴を漏らします。マスターは話しに付き合っていたせいかお腹が減ってしまい自分用の賄いとしてナポリタンを作り始めます。それを見たたまこは熱々の鉄板プレートにナポリタンを乗せ、その下に卵を流し入れてオムレツ風にしたナポリタンを作ってくれと注文した。

彼女が記憶の中で思い描いていた懐かしい洋風の味を見事に再現するマスター。その味に過去を吹っ切れたたまこは次の恋へと走っていくという、そんなストーリーだ。劇中での鉄板の上でアツアツのオムレツに乗ったナポリタンを見て、あんな料理があるのかと驚いた人もいるかもしれません。昭和時代の日本を生きていた人にとって懐かしくもあり、日本で親しまれたスパゲティの原点でもある。

今では注文できる店も少ないので、出会えたら食べて見て欲しい一品だ。

第二話 とろろご飯

訳ありの客が訪れる深夜食堂に、明け方一人の女性がやってくる。みちると名乗る女性はとろろご飯を注文するが、マスターは時間がかかると告げる。仕方ないので簡単に出来る料理を全て注文するみちる、しかし彼女は代金を払うこと無くマスターの目が行き届いていない間に消えてしまうのだった。

翌日食い逃げをしてしまったみちるは謝罪と共に、代金は働いて返すと言ってくる。丁度右手の具合が良くなかったマスターは治るまでの期間として店の二階を貸し出すついでに彼女を期間限定で雇います。元々料理が得意だったみちるはやがて食堂でも持ち味を発揮するように、常連客からも認められていきます。しかしマスターの右手が治り始めた頃、自身の金を持ち逃げして騙した男が現れる。

トラブルに見舞われたが、マスターの知人である新橋の料亭女将の紹介で板前として働くことになったみちるに、マスターは先日出し損ねていたとろろご飯をごちそうする。

ここからが見もので、何とご飯を七輪と土鍋でじっくり炊くことから始めるのだ。時間と手間はかかるが、炊きたてご飯と新鮮なとろろとの絶品過ぎる相性に思わず唾を飲み込んでしまいます。とろろが苦手な人には興味は惹かれませんが、作中でみちる役を演じている多部未華子さんの食べ姿に喉を鳴らした人は多いはずだ。

第三話 カレーライス

最後に登場するのは、日本人にとっても国民食になっている『カレーライス』だ。物語はOLのあけみが東日本大震災の被災地である福島の漁港へボランティアで訪れていたが、そこで知り合った漁師に善意を好意と勘違いされて付きまとわれていたのです。彼女を追って漁師はトラブルを起こしてしまい、その道中でマスターに連れられて食堂へとやってきた。

そこでマスターが提供したのは『カレーライス』、しかもその味はあけみが作ってくれたものと寸分違わぬものだったのです。二日酔いに効くカレーライスの味に、自分が抱いていたものとあけみが抱いていたものが違っていることを知った漁師は彼女を諦めます。

肝心の料理ですが、カレーライスは誰もが頻繁に食しているため新鮮味こそ薄い。ただ劇中で流れているだけで、そういえばカレーが食べたくなってきたなぁと感じた人も多いだろう。ナポリタンにするかとろろご飯にするか、カレーライスにするか迷うところだ。

劇場でこんなキャンペーンも

深夜食堂の劇場公開記念として、公開当初には何と劇中で登場する赤いウィンナーを一日100食限定で提供していたところもあった。既に劇場公開は終了しているので今はやっていませんが、上映前より上映終了後の方がお客さんが殺到しそうだ。

映画館でウィンナーかよと言っている人ほど食べたくなるかもしれません、深夜食堂を見終わったら食事をしにレッツゴーといった事が繰り広げられていたと思うとほのぼのしい。