究極のスローライフ かもめ食堂

フィンランドを舞台にした物語

突然だが、将来は田舎暮らしをしてみたいという人はどれくらいいるでしょうか。田舎なんて良いことなんかない、古臭い風習が渦巻く、近所付き合いを大事にしすぎて閉鎖社会で生きていくなんて耐えられない、なんて文句が飛んできそうではあるが。この質問も大分メジャーになってきた方だろう、ですが実際には田舎で暮らすという理想を叶えるのはあまり現実的ではないかもしれません。交通事情はもちろん、商業施設の有無、さては引っ越した先の隣人問題などといった問題がわんさか出てくるからだ。頭を悩ませる問題は現代社会では当たり前ですが、都会に生きているのと田舎で生きているのとでは共通して言えるのは住みやすい場所なんてないというところか。

では日本ではなく唐突に海外でいうところの田舎暮らしを始めてみてはどうだろうか。昔懐かしい少年アシベに登場するスガオ君が父親の都合でネパールへと転勤するような感じだ。そこではイエティに気に入られて仲良く暮らしているという、そんな生活はどうだろうか。ネパールは状況的に微妙すぎるという人もいるでしょう、でしたらフィンランドはどうか。まず真っ先にムーミンを思い浮かべるでしょうが、どうして唐突にフィンランドなのか。

それは『かもめ食堂』と呼ばれるその作品がフィンランドで食堂を経営している日本人をテーマにした作品だからだ。そしてここでも料理をメインにして物語は進行しているので、見ているだけで思わずお腹が空いてしまう作品となっています。

物語概要

作品が公開されたのは2006年と今から10年ほど前の作品になっています。もう10年前、まだ10年前と受け取る人にとって印象は大分異なってくるでしょうが、重さはあまり変わりません。過ぎゆく年月に何となくどんよりしながらだが、物語はそんな時間の残酷さにより追い詰められる老化と戦う人たちの苦しみとは縁遠いものだ。

フィンランドで主人公の女性が日本食の食堂を経営する物語で、実際の撮影には日本人女優が現地フィンランドで撮影しているという本格ぶりが見どころとなっています。そんなかもめ食堂という作品、内容はいかようなものなのか、まずそこを紹介していこう。

あらすじ

フィンランドは首都ヘルシンキにて、1つの日本食店が開店した。『かもめ食堂』と呼ばれるそこは店主である日本人女性のサチエによって切り盛りされている。しかし近隣の住民からは日本食に縁がないため、客足が全く付かない日が続いていた。それでもいつかはきっとお客さんが来るとして頑張って働き続けるサチエの前に、フィンランド人の青年がやってくる。お客さんが来たと喜ぶサチエだったが、青年が求めていたのは日本のアニメであるガッチャマンの歌詞を知らないかという質問だった。

知っているけど歌詞が思い出せないサチエ、そんな彼女が街の書店でとある日本人女性を見かける。初対面どころの話ではない女性に意を決してサチエは、ガッチャマンの歌詞を教えて下さいと話しかける。するとその女性『ミドリ』はあっという間に全て書き記してしてくれたので、それを滞り無く青年に伝えるサチエ。

縁あって知り合いにあったミドリと話すと旅をしている最中だという。ムーミンが大好きなミドリに感じるものがあったのか、サチエは自身の店で住み込みをしつつ働かないかと告げた。ミドリにしても旅路の道中で知り合った日本人に、職を提供して貰えるということに素直に喜んだ。

サチエとミドリ、双方がどうすれば店が盛り上がるか考えている。一番のメインだったおにぎりを推したいサチエ、しかしとある日シナモンロールを焼いてみると、香ばしいニオイに引かれて近所の主婦たちが訪れるようになった。

またとある日に空港で荷物を紛失したマサコ、見つかるまでの間だけ時間を稼ぐ意味でミドリ同様店の手伝いをすることになる。

演技は女優達によるスローライフ作品

この作品では日々過ごす中で忙しく生きるのではなく、ゆったりと落ち着きながら生き方を見つめなおす生活をする『スローライフ』がテーマとなっています。喧騒に包まれた生活に疲れ、忙しくすることなく、人生を見つめなおす生き方を題材にした作品として話題を呼んだ。

フィンランドという異国の地を舞台にしてはいますが、スローライフを始めたサチエの前に待っていたのは経営難という問題がのしかかる。ただそれもミドリやマサコたちと出会ったことで解消されていき、段々と繁盛していく店へと変化していきます。ただ日本と異なり、機械的に循環しては忙しさに押し潰されるのではなく、忙しくてもじっくりのんびりと方針を定めていくことになります。

注意点としてスローライフとはだらける生活ではなく、忙しくとも時間にとらわれない生活スタイルの事を意味しています。

異国での日本食

フィンランドで日本食を開店する、というのも中々大胆と言える。日本人にすればフィンランドはムーミンの地という一方的な印象はありますが、逆にフィンランドの人にすれば作中で怪訝されるようなことになるのは当然だ。日本食の素晴らしさを伝えたい、行動こそ素晴らしいですが冒頭でのやり取りで奇妙だと言われてしまうのがオチでしょう。スローライフが容易いものではない、そう感じさせる場面が冒頭から連続して繰り広げられます。